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sasakure.UKさんの「オオカミ少年独白」feat.Cana(Sotte Bosse)

sasakure.UKさんはボカロをメインに活動されているミュージシャンの方で、チップチューン系の作風が多いです。

今回のボーカルのCanaさんはボサノバ・ジャズ系のユニット、Sotte Bosseに所属しています。言われてみればヴィレヴァンで聞いたことあるこの声ー!

sasakure.UKさんの楽曲の特徴って結構背景がしっかりした物語調の歌詞で、ボーカルの世界観もこだわっている、というイメージ。楽曲ごとのつながりがあるものも多いんですが、この曲はこれ一つで完結しているのかなという印象です。

明言されているのかどうかは定かではありませんが(ざっと見た限り本人による直接の発言はなかったですが・・・)オオカミ少年の世界観に合わせて描かれているのはどう見ても東日本大震災について。サビ周辺で響くガラスが割れるような音はそれを更に強く感じさせます。

地震があったっていう事実とか、被害状況っていうのはきっと何十年後の後世にもきちんと伝わっていくことだと思うんですよ。衝撃的な映像も残されたことだし。だけど、東日本大震災のときみたいな事後対応の悪さとか、その時の色んな立場の人の不安って中々伝わっていかないんじゃないかなと。

今はまだ実際に体験しているし記憶が新しいから分かるけれど、暗い話題ってあんまり積極的に言わないし体験していない世代からしたらピンと来ないんじゃないかなって。実際、日本で起きた阪神・淡路大震災新潟中越地震は比較的最近のことだし起きたことや倒壊状況なんかは知っています。ただ・・・実感としてはどうしても薄いんですよね。

だから、そういう部分がこういう物語調の楽曲として残されていくって言うのは必要なことなのかもなぁ。それで感情移入できたり、「何のことについて歌ってるんだろう?」なんて興味を持ったらいいなぁなんて。近年はネット社会だから簡単に調べることはできるけど、同時に興味のない情報はとことん目に入らなかったりする。だから作品を通した目線からの記録も大事なんじゃないかなって。

元々ボカロやボカロ出身の方の楽曲のMVって、歌詞が表示される物が多いんですよね。それは初期のボカロの発音が不明瞭だったっていうこととか、動画だけで完結するので歌詞カードが付随しなかったからとか理由はあるんでしょうけど、そこから歌詞にダブルミーニングをつけたりメッセージ性の強い作品が多く生まれたんじゃないかなって思ったりして。その特性が生かされた作品なんじゃないかと思います。ボカロも使う方ですがやっぱりこういうメッセージ曲には肉声がしっくりきます。そこら辺のチョイスがsasakure.UKさんは本当に上手い。

2011年3月11日に起きた出来事。現在2017年。今の小学校低学年世代は物心もつかない頃の出来事になってしまったのですね。高学年でも記憶にある子は少数派かもしれません。時がたつのは本当にはやい。